一人情シスあるある|問い合わせの小ネタQ&Aとエラーメールの読み方
中小企業の情報システム担当、いわゆる「一人情シス」をやっています。社内のIT担当が自分ひとりだけ、という体制です。
日々の仕事の中でいちばん多いのは、実はシステムの構築や運用よりも、社内からの「ちょっと見てほしいんだけど」という問い合わせ対応だったりします。そして、その問い合わせには、驚くほど毎回同じパターンがあります。
この記事では、実際によくある問い合わせをQ&A形式の小ネタとしてまとめました。後半では、問い合わせの中でも特に「読めない」と言われがちなエラーメール(送信に失敗したときに届く英語の通知)の読み方も紹介します。情シス側の人間でなくても、「あ、これ自分のことだ」と思うものが1つくらいあるはずです。
まずは小ネタQ&A:問い合わせの第一声と、本当の原因
Q.「ログインできない」
A. Caps Lockがオンになっていることが多いです。
パスワードが合わない、と電話がかかってきます。駆けつけてキーボードを見ると、Caps Lockランプが点灯している。パスワードに大文字が混ざる設定にしていると、Caps Lockがオンの間は入力した文字が全部大文字になってしまい、正しいパスワードを打っても通りません。「昨日まで入れたのに」という訴えほど、このパターンが多い印象です。
情シスの内心としては「まずCaps Lockを見てほしい」の一言です。ログインできないときは、パスワードを疑う前に、キーボード左側のCaps Lockキーのランプを一度確認してみてください。それだけで解決する問い合わせは、実はかなりあります。
Q.「インターネットがつながらない」
A. 有線LANが抜けている/Wi-Fiがつながっていない/接続先がフリーWi-Fiやモバイル回線になっている、のどれかが多いです。
「ネットがつながらない」の原因は、回線の障害よりも、手元の接続の問題であることがほとんどです。有線LANのケーブルが、机の掃除や席替えのときに半分抜けている。ノートPCが社内Wi-Fiではなく、フリーWi-Fiに自動でつながってしまっている。あるいは、外出先や自宅でモバイル回線のまま使っている。この場合、Webサイトは普通に見られます。でも業務システムは、セキュリティ上、社内ネットワーク(やVPN)からしか入れない作りになっている会社が多いので、「ネットは見れるのに、システムだけ入れない」という状態になります。
情シスに連絡する前に試してほしいのは、次の3点です。
- LANケーブルが奥まで刺さっているか(カチッと音がするまで)
- 接続中のWi-Fiの名前が、社内のものになっているか
- フリーWi-Fiやモバイル回線など、社外の回線につながっていないか
この確認で半分くらいは解決します。逆に、この3点が全部正しいのにダメなときは、回線や機器側の障害の可能性があるので、情シスへの連絡は大歓迎です。
Q.「フリーソフトがインストールできない」
A. アンチウイルスソフトがブロックしていることがあります。
「便利そうなフリーソフトを見つけたので入れたいのですが、エラーで進めません」という相談です。見てみると、ウイルス対策ソフトが「不明なプログラム」として止めている、というケースがよくあります。
ここで情シスの内心は少し複雑です。確かに、業務に使うソフトは情シス経由で入れてほしい。でも、ブロックされたこと自体は、ウイルス対策が正常に働いている証拠でもあります。フリーソフトの中には、インストール時に別のソフトを一緒に忍ばせるものや、広告表示が目的のものも紛れています。
社用PCにソフトを入れたいときは、まず情シスに一言相談してください。「何のために使いたいか」が分かれば、同じ用途の安全なソフトを紹介できることも多いです。
Q.「メールが受信できない」
A. 受信できるサイズを超えているか、アドレスの間違いが多いです。
「先方から送ったと言われたメールが来ない」という問い合わせです。原因で多いのは2つ。1つは、相手が送った添付ファイルが大きすぎて、こちらのメールサーバーの受信サイズ上限ではじかれているケース。もう1つは、送信側のアドレスの打ち間違いです。1文字違うだけで、メールはどこか別の場所へ行ってしまいます(そして大抵、送信側にもエラーメールが届いています)。
対処としては、相手に「添付を小さくするか、ファイル共有サービスで送ってもらう」「アドレスをコピーではなく手元の名刺や署名と見比べてほしい」とお願いするのが早道です。なお、相手のメールボックスが満杯で届かない、という逆パターンもあり、これは後半のエラーメールの表で扱います。
ちなみに最近は、PPAP対策(パスワード付きZipファイルをメールで送る慣行の見直し)で、実ファイルをメールに添付すること自体は前より減ってきました。それでも、大きな添付ファイルではじかれるケースは今も多いです。
Q.「送信エラーのメールが来たけど、内容がわからない」
A. 英語の長文ですが、見るべき場所は決まっています。
メールを送った直後に届く、英語だらけのエラーメール(不達通知)。理由の大半はアドレスの間違いです。ついでに言うと、件名が空欄のメールは、受け取る側も警戒しやすいものです。情シス自身でも、件名なしのメールが来ると「大丈夫なメールか?」と一瞬身構えます。理由はさまざまですが、正直なところ、あの長文を全部読む必要はありません。
エラーメールの読み方は、次の節で表にまとめました。情シスでも全文は読んでいません。見るのは「宛先」「エラーコード」「英語の1行」だけです。
番外編:エラーメールは「不達の報告書」。見るのは3か所だけ
エラーメールは、相手のメールサーバーが発行した「届けられませんでした」という報告書です。怖い警告文ではありません。チェックする場所は次の3つだけです。
- 宛先:どのアドレス宛のメールが戻ってきたのか
- エラーコード:5.x.xは「恒常的なエラー=このままでは届かない」、4.x.xは「一時的なエラー=後で届くことがある」という大まかな区別ができます
- 英語の1行:「User Unknown」「Mailbox full」のような、理由を表す短いフレーズ
代表的なパターンをまとめると、次の通りです。
| 種類 | よくある表示(例) | 意味 | 対処 |
|---|---|---|---|
| アドレスが存在しない | 550 5.1.1 User Unknown | 宛先のアドレス自体がない(退職・廃止・打ち間違い) | アドレスを1文字ずつ確認する。退職者宛なら送付先リストを更新 |
| ドメインが存在しない | 5.1.2/DNSエラー | @の後ろが間違っている、相手のドメイン自体がない | ドメイン部分を確認(.co.jpと.comの取り違えなど) |
| サイズオーバー | 552 5.2.3 Message size exceeds limit | 添付が大きすぎて相手の上限に当たった | 圧縮、分割、ファイル共有サービスに切り替える |
| 相手のメールボックスが満杯 | 552 5.2.2 Mailbox full | 相手がメールを溜め込みすぎて受け取れない | 電話など別の手段で連絡する。こちらでは直せない |
| 拒否・ブロック | 550 5.7.1 Rejected/Blocked | 相手の迷惑メール対策やセキュリティで弾かれた | 添付や本文中のURLを見直す。繰り返すなら相手側の管理者に確認 |
| 一時的なエラー | 4.x.x系(Temporary failure) | 相手サーバーの混雑・メンテナンスなどの一時要因 | 時間を置けば自動で再送・到達することが多い。慌てて連送しない |
この表の見方で実務上いちばん大事なのは、「相手のメールボックスが満杯」と「一時的なエラー」は、こちら側では何も直せないし、直す必要もないという点です。エラーメールが届くと「自分のPCが壊れたのでは」と慌てる人が多いのですが、原因の半分くらいは相手側か、途中のサーバー側にあります。
少し大きな「あるある」も4つほど
小ネタとは別に、一人情シスという働き方そのものにまつわる「あるある」も挙げておきます。
1.「パソコンが動かない」→再起動したら直った
問い合わせ対応の結論として、もっとも頻度が高いのがこれです。画面が固まった、アプリが開かない、動作が極端に遅い。その多くは、再起動すると何事もなかったかのように直ります。「何日も電源を入れっぱなし」というPCは珍しくなく、再起動は情シスが最初に試す対処であると同時に、呼ぶ前に試してほしい対処でもあります。困ったらまず再起動。これだけで問い合わせの電話はかなり減るはずです。
2. プリンターが止まる理由は、大体この3つ
「印刷できない」という問い合わせの原因は、用紙切れ、トナー切れ、そしてPC側でプリンターが「オフライン」と表示されている、この3つのどれかで大半を占めます。プリンター本体の画面に理由が表示されていることも多いので、本体の表示と、用紙とトナーの残量を確認してから呼んでもらえると助かります。
3. 障害と問い合わせは、帰り際と連休前にやってくる
これはもう法則の域です。平日の昼間は静かだったのに、帰ろうとした瞬間にサーバーのアラートが鳴る。連休前の最終日に限って、基幹システムが不調になる。一人情シスは代わりがいないので、こういうタイミングの障害は体力的にも精神的にも堪えます。せめてもの対策として、連休前は「何も変更しない」「新しい設定を入れない」を徹底する情シスは多いと思います。
4. 情シスは「何でも屋」だと思われている
「パソコンに詳しい人」という括りで、私物のスマホの設定を頼まれたり、果ては電球の交換まで声がかかったりします。一人しかいないと、社内の「電気と機械のことならあの人」という認識はどんどん広がっていきます。断るのも仕事のうちですが、正直、頼られること自体は嫌いじゃなかったりもします。
まとめ
- ログインできないときは、まずCaps Lockを確認
- ネットがつながらないときは、LANケーブルとWi-Fiの接続先を確認
- フリーソフトが入らないのは、ウイルス対策が仕事をしている証拠でもある
- エラーメールは「不達の報告書」。見るのは宛先・エラーコード・英語の1行だけ
- 困ったらまず再起動。それでもダメなら情シスへ
一人情シスの元には、毎日こうした小さな問い合わせが集まってきます。「こんなことで呼んでいいのかな」と遠慮する人がいますが、小さいうちに連絡をもらえるほうが、実はお互いに助かります。このサイトの記事は記事一覧にまとめています。
